OLIVER

自転車で冒険に出よう。キャンプツーリング紀行 inアラスカ【Part3 デナリの荒野へ編】 

PLAY
自転車にテントを積んで、自由気ままに旅をする。日本を飛び出し、ふらりと向かったのは夏のアラスカ。そこには圧倒的な自然と世界各地から集まる旅人たちとの出会いがあった。18日間、移動距離1614kmの日々を綴った記録―

原野の中を一本の細い線となってまっすぐ延びる道を行く。
野生動物の存在を身近に感じるヒリヒリとした緊張感の中で、与えられた自由と開放感。
時速20km。夏のアラスカを自転車で旅する。



【Part1.出発編】はこちら
【Part2.パークス・ハイウェイ北上編】はこちら

Route
Profile
和田義弥(わだ・よしひろ)

旅やアウトドアなどのジャンルを中心に記事を執筆するフリーライター。これまで自転車でアラスカやフィリピンを、オートバイで世界一周をキャンプツーリングした経験を持つ。現在は茨城県筑波山麓の古民家で田舎暮らしを実践中。著書に『キャンプの基本がすべてわかる本』(エイ出版社)などがある。
Part3 デナリの荒野へ編

01 デナリ国立公園
ツーリング3日目にデナリ国立公園着。標高6190mの北米最高峰デナリを有するアラスカを象徴する自然公園である。面積は約2万4500平方km。これは四国の約1.3倍に相当する。
デナリは、長らくマッキンリーと呼ばれていた山だが、これは1890年代に当時アメリカ大統領だったウイリアム・マッキンリーに因んでつけられた名称だ。先住民族にとっては「偉大なもの」を意味するデナリが昔からの呼称である。

マッキンリーが、公式に本来の名称であるデナリとなったのは2015年。つい最近のことである。
デナリ国立公園は、グリズリー、ブラックベア、ムース、カリブー(トナカイ)、オオカミ、ドールシープなどの大型哺乳類をはじめとしたたくさんの生き物たちが悠々と暮らす野生の王国だ。

公園のレンジャーがクマに遭遇したときの対策をレクチャーしてくれた。

「クマが人間の存在に気づけば、大抵はクマの方から避けてくれるが、偶然にも出会ってしまったら絶対に走って逃げるな。背中を見せたらやつらは本能的に追ってくる。そのスピードは時速50km以上だ。視線を合わせたままゆっくり後退して距離をとりながら、クマが立ち去ってくれるのを待つんだ。荷物は手放さずに持っていろ。もしも襲ってきたときはそれでガードするんだ。攻撃をやめなかったら?戦うしかないな。君はクマの生息地にいるんだ。注意は怠るな。自然と対峙する限り絶対に安全な方法などはないよ」
公園内にはいくつかのトレッキングコースがあるほか、許可証をとれば自己責任とルールの範囲内で、自然の中を自由に歩くこともできるが、一般の人がその広大な敷地で足を踏み入れられるところは、ごくわずかでしかない。
トレッキングコース以外には国立公園の入り口から130kmほど先まで未舗装の道が通っている。ただし、一般の車で行けない。バスを使うか、歩くか、自転車で行くかである。道の先にはワンダーレイクという湖とささやかなキャンプ場があるだけなのだが、ただ目の前に道が延びているというそれだけの理由で何となくペダルを踏みだしていた。
タグ
  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Pinterest

ARTICLES関連記事