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(更新: ORICON NEWS

My job , my heart 「すべてのサッカー少年へ」

海外取材は必ず想定外のトラブルが! 求められるのは対応力・サバイバル能力

「海外に行くとほとんど思い通りにいかない」と白鳥氏。綿密に計画して下調べをして、スケジューリングしても、一度もその通りになったことがないという。そんな海外でのトラブルの一例がこちら。

EURO2016準々決勝 ドイツ対イタリア

EURO2016準々決勝 ドイツ対イタリア

Episode01
「取材申請したはずなのに…!!」

「電車が止まるとか、時間通りこないとか、飛行機が飛ばない、なんてことはザラです。たとえば、去年の5月に試合の取材でスペインのマドリードのスタジアムに行ったら『席がいっぱいで入れません!』と、取材申請していたのに、入れてもらえない!ノートPCの申請のメール画面も見せながら『日本からわざわざ来たんだ!』って押し問答を続けて、ようやく試合開始の10分に入れてもらえました。こんなことは日常茶飯事です(笑)。しっかり準備をしていても、結局は出たとこ勝負になっちゃいますね」

Episode02
「行きはよいよい、帰りはこわい」

「8万人収容するスタジアムで取材した帰りのこと。試合終了後は一斉に観客が帰るので、当然とんでもない混雑になります。早くホテルに帰って原稿を書きたいのに…電車に乗れない! バスもよくわからない! タクシーもつかまらない! 帰れない!! 最終的に、スマホのアプリでタクシーを呼んでやっと帰れましたが、そんなトラブルを、毎回毎回カタコト英語とボディランゲージで乗り越えるんです」

Episode03
「35時間かけて行って、取材時間は想定外の2分!?」

「スター選手ともなると、経験上では100%時間通り来ないです(笑)。カメラマンと現地の言葉を話せるライターさんも手配して、片道30時間かけて現地に入って、予定外に5時間待たされた挙句に「2クエスチョンで」と言われたこともありました。それでもやっぱりやるしかない。カメラマン・ライターにも謝りっぱなしでしたが、「そうなると思っていたからいいよ」って言ってくれて助かりました」

Episode04
「食べものと水がない!」

「ヨーロッパにはコンビニがないんですが、24時間営業のスーパーなどがあるパリやバルセロナ、ロンドンとか都会のスタジアムならまだいいんです。でも、地方の会場で取材となると、その前後のことも考えないといけない。ホテルで水や食べるものがない、ということもあります。試合後にようやくホテルに帰って原稿を書こうにも、腹ペコでどうしようもなくて…。何十分も歩き回っても、周りにはビールしか売っていなくて。コーラを売っている店をようやく発見して、その横に置いてあったよくわからないキッシュのような食べ物を買って無心で食べましたが、アレは旨かったなぁ〜。…日本のコンビニは最高!って思います(笑)」
「知人に海外取材の話をすると、「行くたびにそんなことばかりあるの!?」「よく帰ってこれたね!」と言われます。でも、どんなトラブルがあろうと、なんとかするしかないんですよね。WEBだけじゃなくて、雑誌の取材も兼ねてますから、『もう4ページ確保しているから、穴をあけるわけにはいかない』ってこともあります。締め切りギリギリの時はなおさらですね」

選手の機嫌が悪いという理由で取材が飛ぶ場合もあるし、逆にダメだと言われても行ってみたら取材を受けてくれたりするパターンもあるという。サバイバル能力、対応力、アドリブ力、ピンチ時の強さ、責任感…そういう力が必要だ。

「会社のお金で行っているわけですし、わざわざ海外まで行くからには何かを持って帰らないといけない仕事なんです」

ナンバーワン誌の誇りをかけた『EURO2016』密着取材

大変なこともあれば当然いいこともある。今年、白鳥氏はサッカージャーナリストとして一つの夢がかなったという。2016年6月10日〜7月10日の1カ月にわたり開催された、ヨーロッパ24カ国の代表チームによって争われる大会『EURO2016』の現地取材スタッフを任されたのだ。

宝物になった、『EURO2016』のプレスPASSと全試合の取材チケット。大会半年前から取材申請が必要だそう。

宝物になった、『EURO2016』のプレスPASSと全試合の取材チケット。大会半年前から取材申請が必要だそう。

「この仕事をやるうえでの一つの目標だったのが、EUROとワールドカップの現地取材でした。入社8年目にしてようやく指名されて、うれしかったですね。でも、肉体的にも精神的にもかなりハードな日々でした。開幕戦から決勝まで30日間で22試合、行ける試合は全部見る。パリのホテルを拠点として、地方の取材となるとさらに宿泊もしました」
毎日、とてつもない移動距離でフランスを飛び回っていたという。

『EURO2016』の取材で、力尽きてメディアセンターで寝ているところをカメラマンに激写されたひとコマ

『EURO2016』の取材で、力尽きてメディアセンターで寝ているところをカメラマンに激写されたひとコマ

4年に一度の“ヨーロッパのお祭り”で、編集部一丸となって連携して記事を作成する。試合結果の速報は、日本の編集部員がリアルタイムで作成。白鳥氏は速報記事ではなく、視点(ジャーナリズム)を盛り込んだ記事を執筆する。

「例えば、一番ヒキのありそうな選手の記事を書きます。ポルトガルならクリスチアーノ・ロナウド選手の記事を書きまくる。短いと1000文字くらい、長くて3000文字いかないくらいの原稿を1本1時間程度で仕上げていく。何本書いたか覚えていないですが、WEBと雑誌で合わせて50〜60本は書いたと思います。まずはWEBの原稿をアップ、その後、雑誌用の執筆をするというサイクルを、ひたすら繰り返していました」

単に試合・選手のことだけではなく、会場の空気感や設備など、自由な視点で記事を執筆する。なかにはスタジアムの音楽や選手の美人妻を取り上げるという内容もあるなど、硬軟の振れ幅のある記事を作っていく。大切なのは現地に行った人しか書けない記事であること、そして、PVを稼げる記事=関心を引く記事であること。視点を持つことが編集者として大事なのだ。

現地フランスで盛り上がるサポーターたち(左/ポルトガル、右/アイスランド)

現地フランスで盛り上がるサポーターたち(左/ポルトガル、右/アイスランド)

雑誌(ワールドサッカーダイジェスト)の原稿も執筆する

雑誌(ワールドサッカーダイジェスト)の原稿も執筆する

「日本からEUROに社カメ(社員のカメラマン)を派遣したのは多分うちの編集部だけ。雑誌社の社員記者が1か月カバーしていたのも僕くらいだったんじゃないかなと思います。ほかの媒体は現地のフリーカメラマン・ライターを手配したり、通信社から情報を買ったりする。テレビを見て書く記事は他社でたくさんある中、国内ナンバーワン誌のプライドとして、写真も記事も独自性にこだわっています。正直、僕とカメラマンの2名が1カ月もフランスに滞在となるとウン百万かかっていますから。それに相応する価値のある取材・価値ある原稿を作らないといけない」

海外取材では、日本から仕事を依頼する現地のクリエイターにも会える。いつも素敵な写真を送ってくれる現地カメラマンアルベルト・リングリア氏と記念撮影

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『EURO2016』でもトラブル続き。最大のピンチはノートPCが水に塗れて故障したこと。バッテリーを外して2日間しっかり乾かしたら奇跡的に直ったとか!

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